位置エネルギーの損益インパクト

前職時代、社会には物理学と同様、位置エネルギーという概念があると教わりました。位置エネルギーは、言い換えれば「維持コスト」です。

・位置エネルギーが上がる例

会社の業績が拡大して、増員, 増床, 移転 を行った

新規サービスや設備などに投資を行った

・位置エネルギーが下がる例

レイオフの実施、オフィスの縮小

事業範囲の縮小、生産性が低い既存事業の撤退 

経営における位置エネルギーは上記です。これと近しいもので、日常生活における位置エネルギーというのも存在しています。生活水準を上げる例は、今よりも家賃が高い住居への引っ越しや、食材を買うお店をスーパーから百貨店にする、などです。

個人においてはケースバイケースですが、会社においては、位置エネルギーが上がっていくと、一般的には社会に与えられる影響値が上がっていくと考えられます。私が一人で会社を始めて社会に与えられる影響と、トヨタ自動車が社会に与えている影響は、大きな差があります。

位置エネルギーが上がっていくと、プラスのインパクトも大きくなりますが、マイナスのインパクトも大きくなっていきます。過去見てきたベンチャー企業の中で、この位置エネルギーの高さに耐えきれず、意思決定に陰りが見られるケースがいくつかありました。超高層ビルから下を除いたら足がすくむように、位置エネルギーの上昇はリスクとセットです。

位置エネルギーが上がると、判断を誤った時の損失が計り知れません。自分自身が今どこに存在しているのかという自分の座標軸を見失わず、見誤らず、自分の器とお財布をしっかりと見据えた上で生きていきたいと思います。