いけてるスタートアップCEO、8つの共通点

2014年は資金調達や上場、M&Aなど大きなニュースが非常に多く、ベンチャー界隈が非常に活況な1年でした。ほぼ毎週、資金調達系のニュースを目にするなぁという感覚であります。

日々、色々な産業で事業を始めようとされている起業家の皆さんにお時間をいただきながら議論をする中で、本当に沢山の貴重な学びや気付きを頂いた年でした。

資本政策に対する考え方やハマりやすい罠の回避方法など、事前に投資家側で回答が可能なものもいくつかありますが、最後の最後で意思決定を下すのは最高経営責任者である”CEO”です。

記事タイトルはやや大げさですが、シード~プレIPOまで多くの起業家とお会いさせていただく中で個人的に感じた「いけてるスタートアップ」のCEOに見られる共通点を8つほどピックアップして紹介したいと思います。

・いけてるスタートアップCEOの共通点

オープンマインドかつ謙虚
市場に対する渇望感が非常に強い
壮大なビジョンを胸に抱いている
事業とビジョンがリンクしている
エンドユーザーの方を向いている
事業領域周辺の感度が異常に高い
”HOW” がとても詰められている
キャピタリストを使い倒してくる

会社組織は経営者が作り上げる人間の集合体なわけですから、狙う市場さえ間違えていなければ、あと気をつけるべきは人間性しかないのではないか、というのが本記事の結論です。

では、8つの特徴についてひとつひとつ見て行きましょう。

1.オープンマインドかつ謙虚

何度も成功しているシリアルアントレプレナーであればあるほど、オープンマインドかつ謙虚な人が多い気がします。

いやこれ、表現がなかなか難しいんですが、みなさん本当に謙虚なんです。

私一応若手VCというポジションなので、下から見上げてあの人は謙虚だなんだと言ってると「逆に偉そうだな!」ってなるかもしれなくて怖いんですが、大成功している人ほど謙虚。

「常に自分の知らないものを探しており、どんな相手に対しても興味を持っている」そんなマインドかと思います。

2.市場に対する渇望感が非常に強い

「渇望感」とは、満たされていない現状に対する怒りや、熱量のことを表しています。

「なんで事件が会議室で起きているんだ!」という感情が、ここでいう渇望感です。

起業家は(基本的には)解決されていない課題か、もしくは充足されていない欲求に対して問題提起をして解決を図る人々だと思っています。

いけてるスタートアップCEOはこの渇望感が以上に強く、常に「最善の解決方法」を探し求めています。結果として事業が伸びていきます。

自分の原体験や成そうとしている世界観が事業とリンクしていると、事業内容にかかわらず心から応援したくなるのですが、原体験から来る渇望感を事業に落としこむことが出来ると非常に強いと思います。

3.壮大なビジョンを胸に抱いている

信じているビジョンの強さ、壮大さ、そしてブレない軸を持って自分のビジョンを言い続けられていること。

スタートアップは自分の人生を懸けて挑む戦ですから、成功を信じて疑わずに力強く突き進んでくれそうな将でなければ入隊したいと思いませんよね。

いけてるスタートアップCEOはとにかく語る内容のスケールが大きく、常に現状に飽き足らない人が多いと思います。

4.事業とビジョンがリンクしている

原体験とのリンクはここで強く関連してくるのですが、原体験と課題認識と解決方法が噛み合い、事業とビジョンがリンクしているCEOは、事業計画を語る時の力強さが全く違います。

自分の力で世界を変えようと思いたち、スタートアップを起こそうと思った時、何か理由があってその事業に取り組もうとしているはずです。

事業とビジョンをうまくリンクさせられることが出来れば、採用や資金調達(もしする場合)における大きな手助けとなるでしょう。

5.エンドユーザーの方を向いている

人間を起業に掻き立てる場合、金欲や性欲、事業欲や自己実現欲求など何らかの強い欲求が裏側に存在しているのですが、その中でも「いけてる」と言われる起業家は皆一様にエンドユーザーの方を向いています。

ToC、ToBどちらにも言えることですが、いけてるスタートアップCEOは自らの個人的な欲求を満たすために事業を起こすのではなく、満たされていないエンドユーザーを満たすために事業を立ち上げ、既存の「不」を打ち壊しに行きます。

6.事業領域周辺の感度が異常に高い

当然ながら、いけてる起業家は自分のやっている事業の周辺領域を極めて細部まで研究しています。

自分のfacebookページの投稿に「いいね!」している人は誰なのか逐一チェックし、競合の投稿に「いいね!」している人も常にチェックする。些細なことかと思われるかもしれませんが、「誰よりもその領域に執着・精通している」という状態に結果としてなっているのです。

我々も日頃から様々な業界を角度を変えて深掘ったり、アジアのチームから情報を吸い上げたりしているのですが、そうした起業家に対して業界の理解度(深度)では絶対に敵いません。

7.”HOW”がとても詰められている

ピッチ(事業プレゼン)は、シリアルアントレプレナーであればあるほど、”HOW”の部分が詰められています。

基本、10分間で「課題提起/プロダクト/ビジョン/チーム/資本政策/成長戦略」までを盛り込んでいただくのですが、課題提起から資本政策までをクイックに分かりやすく伝え、その後「戦略/いかにして本事業を成功させるか」に時間を最大限割いています。

「今後事業のリスクになりそうなポイントと、その回避策」や「事業成功のためのKSFと、成功に導く戦略」など、重要事項とセットで「どうやって成し遂げるか」が告げられます。

8.キャピタリストを使い倒してくる

特にシード期に言えることなのだと思うのですが、自らの放出したエクイティ株式分”以上の”働きや成果、コミットメントを求めてきます。

それはもう、生半可なものじゃありません。バンバンfacebookメッセージで連絡や依頼事項が来ます。

自らの事業を成功させるために必要なことを優先度順に並べて、我々のようなステークホルダーにアウトソースできるもの(もしくは我々しか出来ないこと)をガンガン投げます。

お互い同じ目的を追うことに合意をして資本関係を結んだわけですから、遠慮は無用です。

こちらとしても嬉しい悲鳴のような感じで、「よっしゃ、そこまで言うなら一緒にやろう!」と応援したくなります。

・総括

もちろん全ての特徴が最初から揃っている起業家なんていません。

良質な修羅場を乗り越えることによって体得することもあるでしょうし、先天性の才能として最初から出来る方もいるかもしれません。

人も事業も時間の経過によってどんどん変化をしていくので、どのタイミングで投資するのが一番ベターなのかを常に考えています。

”改善に終わりはない(Better never ends.)”ですが、自分が「ここだ!」と思った時に起業家に選ばれるVCになるべく、精進を続ける毎日です。

それではみなさん、よいお年を。