ものづくり

最新のものづくりを勉強させていただこうと思って、AirPods Proを購入しました。プロダクトのデザイン精度があまりにも高く、感動したのは言うまでもないのですが、一番感動したのは、Apple製品が身の周りに有れば有るほど、その便利さが際立ってくるという設計です。Googleもサムスンも素晴らしいプロダクトを出していると思いますが、イヤホンひとつで爆発的なヒット商品を世に出し、それを軸に製品との結びつきを強めるというのは絵に書いた戦略ではよくある図式ですが、実際に実行しているのが凄まじい努力と叡智の結集だなと感じています。

ハードウェアを作る仕事の真似事をし始めてしばしの時間が経ち、いかに不良品を出さずにコストとクオリティのバランスを取るかの難しさについて日々頭を悩ませています。AirPods Proを買うのと同時に専用のケースを購入したのですが、サードパーティ製品にしたためか、フタの閉まりが本体と連動しておらず、なんともいえないストレスを日々感じています。AirPods Pro自体の完成度の高さが、なんともいえないそのケースの完成度の低さを明白に突きつけてくるような感覚を覚えます。このケース自体は3,000円くらいする、そこそこの価格帯のものなのですが、それでもこんな感覚を覚えてしまうのは驚きです。

Appleを始めとしてインダストリアルデザインのレベルが高い製品が夜に出れば出るほど、消費者が期待するクオリティも飛躍的に上がってしまいます。先行者がベンチマークとなり、トラブルゼロ、不良ゼロ、故障ほぼゼロという世界を既に消費者である私達は期待してしまっています。AppleのOSアップデートは初期不良が多いからあとの方にしておけ、という通説であったり、初期ロットは人柱みたいなもんだからやめておけみたいな根も葉もないアドバイスがありますが、どれだけ拘ったリリース品でもそのような揶揄をされることがあるのです。消費者の方は書いて字のごとく「消費」するためにその品物に自分の資産を投じているわけですから、ある意味では当然のリアクションであって、製品提供側は本来、不良率を一定量許容してくれなどとは言ってはいけないのかもしれません。となるとコストとクオリティがバランスしないケースが往々にして出てきます。この辺りでビジネスの期待値コントロールやリリースまでのロードマップ設計の妙が生きてくるのかもしれませんね。

失礼ながら、ハードウェア製品の会社への就職と聞くと、日本の会社だと「お先真っ暗」なような印象を私は抱いてしまいますが、例えばAppleやTESLAなどの会社と聞くと「エキサイティングだね」と思ってしまうのはなぜなのでしょうか。自分自身も消費者から選ばれる存在になるべく努力していきたいと思ったエピソードでした。