漫画の未来はどこに向かうのか

昨今、サーバー費用が安くなったことや、法の抜け道が明確に(どこまでがアウトなのかがグレーになっている状態が続く感じ)なってきたことが主要因として、違法アップロードサイトが猛威を奮っております。その一つが「漫画村」というサイトです。すでにご存知の方もいるかもしれませんが、漫画村は完全に無料で、ありとあらゆる漫画が鮮明なPDF画像で読めてしまうという、法的に言うと10000000%、アウトなサイトとなっております。  なお、こちらの漫画村ですがとんでもないアクセス数となっております。

Webサイト分析ツールSimilarWebで見てみると、「漫画村」のサイトランキングはなんと日本で31位。 月間利用者数(UU)は約9892万人という数字です。(2018年1月19日時点。国内ランキングについて、 個別ページでは32位だが一覧では31位となっている)

30位以上のサイトはinstagramやyoutube、yahoo japan やlivedoor といったほとんど上場しているという最早とんでもない状況です。 デジタルコンテンツはコピーをされてしまうと複製が出来てしまう 為、もはや漫画を買う時の費用の対価は、何なのだろうか?という哲学的問いに対して自分の中で答えを持てなければ、人間は低きに流れ欲求に従ってしまう生き物の為、結果漫画村に流れ着いてしまうという構造となっております。こうした流れは特に中国において顕著で、もはや映画に対しお金を出して見るという時代はほぼ終了し、公開後しばらくしたらすぐに違法アップロードサイトで字幕付きのHD画質の映画が無料で見れてしまうという状況。こうなると漫画同様、映画館でお金を出してみるという費用の対価は一体何なのか、これまた哲学的問いに対して答えを迫られるわけです。映画においては漫画よりも伝達媒体が豊富なため、視覚と聴覚は もちろんのこと時には触覚や嗅覚などにさえ、映画館まで来てもらえれば観客に作用させることが可能です。その為、映画は漫画よりもややマネタイズがしやすい媒体であるといえます。

そうした特徴を持つ映画と漫画は決定的に異なり、漫画の方は非常に難しいと感じております。Kindleが 出て人類が本を持つという煩わしさから解放された時の幸福感といったらもはや昇天レベルなわけで、特に大学生時代、ろくに大学へ行かず、毎日Amazonや本屋で本を買って本を読んでいたような引きこもり読書系男子の僕にとっては、電子媒体って最高のフォーマットなんですよね。では紙媒体の本はもう一生買わないのか?と言われると、ゼロには絶対にならないけど、極力電子版で買いたいというニーズになっております。でもコストを抑えられるなら、メルカリとかAmazon中古の1円本とかで買って読みたい。無料で読めるならそんな素晴らしいことはない。オフラインでも読み返したい本や一生残したいレベルの本があれば、買って置いておきたい。サイン本とかはもちろん残したい。みたいなニーズです そうなると、コンテンツの値段というものがどんどん0円に近づいて くるわけです。ご存知のように、そうした状況を反映するかのごとく四大少年誌と呼ばれる ジャンプ, マガジン, サンデー, チャンピオン の売上は 物凄く綺麗な右肩で下がってきています。2018年現在、人類の40%がインターネットにアクセスできる状況です。そうなると無料で読んでもらって広告で稼ぐみたいなモデル、comicoとか ピッコマとかレジンコミックスとかマンガUP!とか、そういう「そこでしか読めないコンテンツ」に歯を食いしばりながらちょっとづつちょっとづつ読む、かわりにアクセス数を献上し広告費を差し上げるというビジネスモデルになるわけです。ただ、そうしたコンテンツも正直、頑張って探せば割と読めてしまうわけです。日本語でバッチリ出てるものが無くても、英語に 翻訳されているものが無料だったり、もっと言えば中国語が読めれば、人類に需要があるコンテンツのほぼ全てに無料アクセスができる といっても過言ではない状況になってきているのです。これは漫画村を肯定したいという意図ではなく、それだけ無形かつ消費型のコンテンツに対してお金を払うということがシビアになってきており、事業者目線で言えば、お金をいただくことに対するハードルが上がってきているのだということが主旨です。

僕はニコニコ動画を運営しているドワンゴという会社の会長の川上さんという人をやや重ために尊敬しておりまして、彼が出した書籍やWeb上のコラムは有料のものでも購入して読んだりするレベルで 入れ込んでいます。川上さんも様々なインタビューや記事や本の中でコンテンツに対して課金してもらうことの難しさを説いています。 AbemaTVも完全無料です。正直言って魅力的なコンテンツが多すぎるため僕はインストールしていませんが、K-1とか麻雀とか釣りとか、すごくそそられるコンテンツが独占配信でしかも無料で…とかだったらかなり親指がインストールボタンに引き寄せられていくのを感じます。「禁じ得ない」という現代において非常に使う機会の少なくなった日本語を使うとしたらまさにこの時なんじゃないかというほどです。 ここまでお読みいただいた皆様には漫画に未来はあるのか!?と不安にさせてしまったのではないかと思います。ただし、そこまで気にする必要はありません。所詮エンタメはエンタメ、娯楽は娯楽であってインフラや生活必需品ではありません。生活を豊かに、人生を楽しく暮らすためのものです。最悪、無くても人間は生きていけるのです。 漫画は日本の文化ですが、娯楽ですから、庶民のお楽しみのひとつが今後どうなっていくのかということ、それだけのことです。 なお、個人的に漫画の中で「買ってでも残したい」と思う作品はいくつかあります。 AKIRA, ハンターハンター, バガボンド あたり。 勿論、言い出したらキリがないですが、死ぬ時まで読み返したい作品って 何だろう?(※リュックにしょって持てるくらいの冊数という制約条件で)と 考えた時に、この3つが出て来るわけです。もはやハンターハンターとか読者の僕からみても終われる気がしないですし、続きが読みたくて生きているのが辛いくらいです。バガボンドにいたってはもう3年近く休載しています。バガボンドを知らなければ僕は幸せだったのだろうか?という気さえしています。自分自身が朽ちる時にそばにおいて読みたいという側面と、自分自身の子供に読ませてみたいという側面、この両面を兼ね備えている のは、上記の3作品です。もはや僕が言うにはバガボンドとか、漫画の域を超えて画集ですから。井上雄彦さん(漫画家というか、ほぼ、現代に生きる神。漫画神。)が描いておられるのですが、入魂しすぎて書けなくなるという状況に陥っています。 これはハンターハンターを描いている冨樫義博さんも一緒です。 世の中では冨樫病という表現もあるくらいです。バガボンドの超長期休載に入る前の37巻で井上雄彦神が書いているテーマなんて、「なぜ生きるのか?」ですからね。 答えは、「命をつなぐため」だそうです。う〜ん、グッと来ます。

漫画の未来はどこに向かうのか?これは誰かの受け売りですが、一筋の光らしきものを見つけました。気になる方はクリック。(※注:外部サイトに移動します)