1人のハスラー vs 8人のサラリーマン

”会議をする時、1枚のピザを分け合えない人数では行ってはいけない”というルールを聞いたことが在る方もいらっしゃるのではないでしょうか。何か物事を決める時、最も早い方法は1人の最終意思決定者が全責任を持って意思決定することです。例えるなら、中華人民共和国の習近平体制のようなものでしょうか。反対に、最も時間をかけるには、可能な限り多くの人員を会議に投入し、議論を続けることです。最終意思決定者は置かずに(置いても良いが、会議には参加していない方がより議論を続けることが出来るので望ましい)なるべく会議への参加者が等しい議決権を持って参加しているという状態を創り出すとよいでしょう。

スタートアップはほとんど場合、1人の社長(代表取締役CEO)が全ての意思決定を行うところから始まります。この時が最も全ての意思決定において純度が高く、速度が出ている状態です。会社の規模が大きくなっていくと様々な意見が出て来て、大きなビジョンは一致していても同じ風景を見た時に抱く感想が異なるといったことが日々、起こり続けますので、最終的にどうするのか?という判が下せる人が各チームやユニット単位でのトップに居るということが望ましいと思います。質の低い会議の具体的な例としては、小学校や中学校におけるクラス委員会の形式が挙げられます。会議を進行しなければならない委員長およびコアなグループによって大筋が決められるものの、その他大勢の参加者達は議論に興味を持たずに静観(というか早く終われ)と思っているという状態です。段々と大人になっていくとその会議に居るだけで給料が発生するということに気づく瞬間が来ます。そうした時に有効活用できるTipsが紹介されたりもしています。

  「忘れてた」は「タスクから漏れてました」~かっこいいビジネス用語投稿

この記事を拝見して、非常に面白かったのですが、かなり身近で起きていることも多いと気付いた瞬間に、背筋が寒くなりました。私は『企業は社長が制御している』という考えがあるのですが(※多くの場合。基本的に。会長や外部株主がもの凄い実権を握っていたりするパターンもある)基本的には社長を筆頭に各プロジェクトの責任者が制御しなければ、組織は各チームごとに崩壊していきます。自分自身の許容可能なサイズを超えた状態に組織が膨れ上がると、基本的にはどこかの部分から綻び、最終的には破綻するのだと思います。最近思うこととして、経営者のモチベーションはシンプルですが、従業員のモチベーションは意外と複雑だと感じています。経営者からしたら普通のことが従業員にとっては普通ではないというシーンはよく目に(耳に)しますが、株主の目線と株を持たない従業員の思惑はズレて当然なのです。基本的には楽して給料を得られて、可能な限り長く安泰でいられる状態を望むというのが従業員の一般的な概念だと思っていますが、経営者はそんな悠長なことを言っていたら競合にシェアを奪われるのが分かっているので、常に新しいことに挑戦したり、毎度高い目標を設定しそこに挑み続けるというモチベーションが生まれます。

タイトルにもある 1人のハスラー vs 8人のサラリーマン は抽象化した一例ですが、8人のサラリーマンの中に意思決定者がおり、8人が高いレベルで経営者のようなモチベーションを持って働かない限り、1人のハスラーに勝てるということはあまり無いと思います(※勿論、絶対は無い)。私の考えるビジネスの面白いところは、そういった部分です。